はじめに
2021年、1日に約3200億通の迷惑メールが送信され、その多くにはトロイの木馬、スパイウェア、ランサムウェアなど危険な要素が含まれていました。迷惑メールフィルタは、完璧ではないにせよ、セキュリティに欠かせない存在です。
スパムフィルタは、受信する悪意あるメールと正当なメールを見分けるために使われます。攻撃者は、重要なサポートやリスク回避を謳う文面で、実は安全でないリンクをクリックさせ、悪質なソフトをダウンロードさせたり、危険なサイトに誘導するための誤情報を送ってきます。
スパムは内容が薄いこともありますが、受信箱を埋め、大切なメールが見づらくなる原因にもなります。こうした迷惑メールはスパムフィルタで検出され、一般的なパターンを認識して仕分けされます。
スパムガードとは何でしょうか。迷惑メールが届く際、多くの場合、メールアドレスがリストの一部として売買されている場合があります。また、受信者のアドレスが、データベースに不正にアクセスしたプログラマーによって取得された可能性もあります。攻撃や宣伝の成功率を上げるため、スパマーは同じ内容のメールを大量に送信します。
こうしたメールは、メールフィルタによって仕分けられるため、貴社の不要なメールから守る有効な手段となります。一部のフィルタはAIの知見を活用し、より確実に迷惑メールを判断してセキュリティを高めています。
スパム検出は、ISPなどのネットワーク事業者が顧客に届く迷惑メールの量を減らすためによく用いられます。企業も同様に、社員の受信箱をスパムから守る対策を講じることができます。しかし、フィルタリングによって、本来受け取るべき重要なメールが含まれてしまう場合もあり、その際は受信者自身が受信するメールの種類を選び、設定でフィルタの解除が可能です。
迷惑メールが届くのは受信者にとって非常に煩わしいことです。しかし、迷惑メールが届く責任が受信者にあるわけではありません。たとえば、Gmailなどのメールサービスでも迷惑メールは届きます。Gmailは自社のスパムフィルタ機能を活用し、洗練された受信箱を提供しています。
メールサービス提供者は、自社の製品利用を推奨しています。より多くの利用者を獲得することで収益を伸ばしており、迷惑メールの少ない快適な受信環境が維持される限り、利用は続くと考えられます。
受信者は、悪意あるリンクをクリックして危険なソフトをダウンロードさせられるリスクにさらされています。一通の巧妙な迷惑メールが、企業全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。スパムフィルタリングは、こうしたメールが受信箱に届かないようにして、貴社と受信者の双方を守ります。
要するに、スパムフィルタのない組織は非常に脆弱です。受信箱が迷惑メールで溢れ、サーバーが不要なメールで過負荷状態になる恐れがあります。場合によっては、過負荷のサーバーがスパム送信の温床となることもあるため、優れたスパムフィルタに投資することが欠かせません。
スパムフィルタは「ヒューリスティック」手法を用い、各メールに対して複数の検査を行い安全かどうかを判断します。送受信される全てのメールがこのフィルタを通過します。
様々な基準に基づいた計算で点数が付けられ、ある閾値を超えるとそのメールは迷惑メールとして認定され、以降の処理が停止されます。
内容に基づくフィルタの一つにベイジアンフィルタがあります。これは前述のフィルタよりも賢く、受信者の行動を学習します。特定の送信者からのメールを常に迷惑と判断すれば、同様のメールが自動で迷惑メールと認識されます。
これらのフィルタは、AIと複雑な計算を活用して不要または危険なメールと正当なメールを仕分けします。良性のメールと迷惑メールに特有の単語やフレーズをリスト化することで、メールの安全性を判断しやすくなります。
使用すればするほどベイジアンフィルタは精度が上がり、受信者が微調整できるため、誤判定も修正可能です。こうした学習機能により、時間とともにより効果的に変化します。
ルールベースフィルタでは、受信する全メールに適用できる具体的なルールを設定します。送信元や内容がルールに合致すると、メールは迷惑メールフォルダへと振り分けられます。たとえば、本文中に特定の単語やフレーズが含まれている場合、迷惑メールとして処理されます。
さらに、メールヘッダーに特定の単語やフレーズがあるかどうかをチェックすることも可能です。重要な内容が含まれていても、不要な文言が重なっている場合などに有効です。
また、送信者個別にルールを設定できる点も、ルールベースフィルタの利点です。送信者名やメールヘッダーの情報などに基づいて判別します。
ブラックリストフィルタは、迷惑メール送信者として登録された送信元からのメールをブロックします。迷惑メール送信者はアドレスを頻繁に変更するため、ブラックリストは定期的な更新が必要です。しかし、更新前にアドレスを変えた場合、フィルタを突破する可能性があります。
企業は自社の防御として、独自のブラックリストフィルタを設定することも可能です。例えば、人材を引き抜く採用スカウトや、業務の妨げとなる宣伝メールをブロックする用途に利用できます。
コンテンツフィルタは、メール本文の内容を検査して迷惑メールかどうかを判断します。迷惑メールは、セール情報や性的な内容、または人々の感情や欲求(例:渇望や恐怖)に訴える共通の目的を持つため、その内容に特徴があります。
「割引」「期間限定」「お買い得」などの金銭関連の単語が一定回数以上使用されると、フィルタが反応します。
また、露骨な性的表現が使われている場合も、受信者を誘惑して危険なリンクをクリックさせる意図があると判断され、フィルタが作動します。
ヘッダーフィルタは、メールの送信元やその他の情報が正当かどうかを判断するため、メールヘッダーを検査します。スパマーが用いるIPアドレスや、一斉送信されたグループメールの兆候などもチェックの対象です。
スパマーは、特定の国の受信者を狙って、受信者の言語とは異なる言語でメールを送信することがあります。通常、受信者は理解できる言語のメールを望むため、言語フィルタが働くことがあります。
海外の企業や顧客からのメールが誤って迷惑メールとして分類される可能性があるため、受信者には迷惑メールフォルダの確認を促す必要があります。
詳細はWebフィルタリングについてご覧ください。
スパムフィルタが何を判断しているのかを理解することで、メールの届きやすさを向上させることができます。メールがどのようなスパム検出機構にかかるかを把握することは有用です。以下の3つのシステムは、メール送信プロセス内での配置場所により分類されます。
クラウド上で提供されるスパムフィルタは、ゲートウェイ型と同様に、メールが貴社に届く前や社内で利用することができます。これらのフィルタはリスクのあるメールを検出し、ゲートウェイ型とほぼ同じ動作をします。クラウド上のフィルタは、最新のプログラムで即時に更新され、常に最新の技術が提供される点が利点です。通常、外部企業によって運用され、サブスクリプション形式で提供されます。
企業のファイアウォールには、ゲートウェイ型スパムフィルタが組み込まれており、受信するメールが企業にとって脅威でないかをチェックします。これらはクラウド上ではなく、近くのサーバーに設置された実機で運用されるのが一般的です。メールは企業に届く前に「セキュリティゲートウェイ」を通過する必要があり、代表例としてBarracudaのメールセキュリティゲートウェイがあります。
受信者は、自身のPCにデスクトップ型スパムフィルタをインストールして利用することができます。これにより、自分のニーズに合わせたフィルタリング設定が可能となります。
スパムフォルダに迷惑メールが入らないよう、まずはスパムフィルタの設定を丁寧に確認することが大切です。正当なメールが迷惑メールフォルダに入らないための基本策を以下に示します。
貴社のメールを受信者が信頼することが重要です。送信前にコミュニケーションをとり、受信確認を促すなどの準備をしてください。また、いつでも配信停止が可能な選択肢を設けるとよいでしょう。
メールリストは購入やレンタルを避け、貴社独自に構築することが望ましいです。無効なメールアドレスへの送信は、バウンスの原因となります。
メールの要はその内容です。リンクや画像を過剰に用いず、受信者に役立つオリジナルコンテンツを提供することで、信頼性の高いコミュニケーションにつながります。
大きすぎる画像や過剰なタグ、Microsoft Wordからコピーしたコードなどは、スパムフィルタを作動させる場合があります。適切なサイズの、利用者に優しいテンプレートを使用してください。
貴社の送信元メールが迷惑メールと判定されないよう、ホワイトリストに登録していただくよう、受信者にメールで案内することも有効です。もしリストに登録されていない場合は、直接連絡して解除を依頼してください。
Gmail、MSN、Hotmail、Yahooなど主要なメールサービスにテスト送信し、配信状況を確認してください。送信前にスパムフィルタチェッカーを利用して、迷惑判定のポイントを把握するのも効果的です。
メールの配信状況や受信者の反応を把握しないと、信頼が低下し、商談に悪影響を及ぼす恐れがあります。注目すべきデータを確認し、改善策を講じることが重要です。
スパムフィルタを正しく運用すれば、メールマーケティングの効果は向上します。
スパムフィルタとファイアウォールの主な違いは、提供される機能の範囲にあります。スパムフィルタは主に迷惑メールから守るためのものであり、メール専用です。一方、ファイアウォールはメールに限らず、組織に入るさまざまな脅威を除去し、より多様なサイバー攻撃から守ります。
また、多くの方は、企業の防御ラインとしてはファイアウォールが最も重要であり、スパムフィルタはその次に位置すると考えています。
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